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Manabu Kawai
川井 学教授
When we challenge,
we advance
挑戦すれば、前進する
当教室のホームページをご覧いただき、ありがとうございます。令和4年8月1日付けで和歌山県立医科大学外科学第2講座教授を拝命いたしました川井 学です。和歌山県立医科大学外科学第2講座は、1956年(昭和31年)8月に中尾行保先生が開講されて以来、勝見 正治先生、谷村 弘先生、山上 裕機先生そして私は第5代目として就任しました。教室の最も重要な役割は次世代を担う人材育成です。これまでの70年近くに及ぶ教室の歴史の中で、歴代4代の教授ならびに多くの諸先輩の多大なる努力の下に培われてきた教室の伝統を守りつつ、国内トップレベルの質の高い教育、研究、診療を行うために、次世代が活躍できる明るく魅力のある外科学教室を作ります。私たちは、外科医として常に「すべては患者さんの益する外科治療の開発」を目指して診療・研究・教育に行っています。このために“When we challenge, we advance.(挑戦すれば、前進する)”という気持ちを常に持ち、最先端の高度外科医療に取り組んでいます。
患者さんへ
当教室では 1)消化器(食道・胃・大腸・直腸・肝臓・胆道・膵臓など)の悪性腫瘍の治療、 2)総胆管結石・胆嚢結石・膵胆管合流異常症などの良性胆道疾患、3)炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)、4)機能性疾患(高度肥満、逆流性食道炎、アカラシア)、5)小児外科(小児の消化器疾患全般およびヘルニア)の外科診療を行っています。
大学病院として高度外科医療(高難度手術と腹腔鏡手術・ロボット支援下手術による低侵襲手術)を安全に提供できるよう取り組んでいます。低侵襲手術では日本内視鏡外科学会が定める内視鏡外科技術認定医が6人在籍しています。腹腔鏡手術だけでなく、ロボット支援下手術は胃癌、直腸癌において先進的に取り入れ、和歌山県下だけでなく、大阪府下からも多くの方に来院していただいております。
肝胆膵外科手術は日本肝胆膵外科学会が定める和歌山県内唯一の修練施設A(肝胆膵高難度手術50例以上/年)であり、肝胆膵高度技能専門医が6名在籍しております。肝胆膵手術件数は全国有数のハイボリュームセンターとして、肝胆膵外科の高難度手術に安全に取り組んでおります。さらに、他院で切除困難と言われた癌患者さんに対しても、決して諦めることなく、抗癌剤、放射線治療、分子標的治療薬、免疫チェックポイント阻害薬、免疫治療なども積極的に行い、集学的治療後の切除限界に挑んでおります。
小児外科は、和歌山県下唯一の日本小児外科学会の認定施設として、指導医1人、専門医1人が在籍しており、小児の消化器疾患全般およびヘルニアに対して治療を行っています。
私たちは、和歌山県内から、そして近畿圏、全国からも、「ぜひ和歌山県立医科大学で手術を受けたい」と思って頂けるような魅力ある最先端の外科医療を提供していけるよう取り組んでまいります。是非、お気軽にご相談ください。
ご紹介いただける病院・開業医の先生がた
私たちの教室は、地域における消化器癌治療の「最後の砦」として難治性癌である食道癌・直腸癌・肝胆膵領域癌の手術に代表される高難度手術に積極的に取り組んでおります。このために、当院の他の診療科・他職種との連携による、充実したチーム医療を行い、切除困難消化器癌症例であっても、抗癌剤治療、放射線治療、手術などによる集学的治療により、安全な高難度手術・予後改善を目標に全力で取り組んでいます。また、低侵襲手術として、ロボット支援下手術を現在の胃、直腸だけでなく、2022年11月から肝胆膵領域においてロボット支援下手術を開始し、2023年1月からは食道癌に対してもロボット支援下手術を開始し、低侵襲手術の発展に努めていきます。地域医療も和歌山県立医科大学の重要な任務と考えております。和歌山県唯一の医学部として、和歌山県全体の病院・開業医の先生方と連携しながら、和歌山県全体そして大阪南部の地域医療向上のため、信頼される優れた外科医を配置し、より質の高い医療を各医療圏へ提供します。そして消化器外科におけるがんゲノム医療を中心とした基礎・臨床研究および治験を積極的に行い、和歌山医大発の治療法の開発を目指し、それを世界に向けて発信していきます。地域に信頼される国内最高水準の外科医療の提供に努めてまいりますので、何卒ご指導賜りますようよろしくお願い申し上げます。
外科学第2講座で働いてみようと考えている先生がた
現在、和歌山県立医科大学 外科学第2講座で消化器外科医としての仕事をしてみたいという先生を広く募集しています。外科医として“心・技・体”が大切です。
外科医にとって、“心・技・体”は以下の通りと考えています。
心:日常診療の疑問点を解決するリサーチマインドの修練
技:高難度手術手技・低侵襲手術手技の修練による質の高い外科医療の取得
体:高いパフォーマンスを行うための心と体の休養
キャリア形成支援
当教室では多くの関連施設と密に連携し、外科専門研修プログラムの中で日本外科学会・日本消化器外科学会専門医を効率的で短期間で取得できるように、必要手術件数を効率よく経験できるローテーションを組むよう配慮しています。そして、外科修練中は地域医療に必要とされる一般外科の素養を十分に積めるように修練を行います。その後、自身の専門分野を決めた後は、外科の高度な知識・技術を要求される日本内視鏡外科学会技術認定医あるいは日本肝胆膵外科学会高度技能専門医も取得するための修練を積みます。従来の「手術は見て覚えろ」というような間違った当たり前をなくし、きめ細やかな、そして対話を重視した教育を行い、マンツーマン体制での、丁寧な手術指導を心がけます。教育のコンセプトとして、外科医である前に、まず人として、社会人として教育し、高邁な倫理観と創造力のある医師を育て、そして次世代のリーダーとなり得る人材を育成します。
Academic Surgeonとして
私たちが目標とする「すべては患者さんの益する外科治療」のためには、病態解明や新規術式・治療の開発のための基礎・臨床研究も必要です。外科医は手術だけ出来れば研究は必要ないという方もいると思います。しかし、外科医として、ベットサイドでの日常臨床の疑問点を解決するために、研究の時に養う、仮説を立て、結果を推測し、それを実証するという論理的思考が必ず役に立ちます。外科医としての日常臨床の疑問点を基礎研究のテーマとし、基礎研究の結果を臨床応用するトランスレーショナルリサーチを推進し、「世界に向けての本学発の新規治療開発」を目指します。具体的には、切除標本やリキッドバイオプシーを用いてゲノム解析による新規バイオマーカーの開発、ゲノム変異を標的とした抗癌剤・分子標的薬剤選択、標的遺伝子抽出による創薬開発を行っていきます。研究にあたっては本学基礎医学講座、国内外他施設研究機関等とのあらゆるネットワークを駆使して連携体制を作り、研究を行っていきます。希望すれば、海外留学も積極的に支援し、外科医としてのキャリア形成を重点課題としながらもグローバルなacademic surgeonの育成を行います。
ワークライフバランス
「健全な精神は健全な肉体に宿る」という古代ローマ詩人の言葉があります。仕事で高いパフォーマンスを行うために心と体の休養は必ず必要です。このため、今までの外科医個人の頑張りに依存した従来の働き方ではなく、私たちの教室はチーム医療の中で、ワークライフバランスを考えた環境整備を行っています。友人と、恋人と、そして家族と語らい、そして自分の時間を確保することで、仕事への活力が生まれます。
教室の柱は「若手医師を含めた全員が活躍できる教室作り」です。教室の最も重要な役割は人材育成であり、人を育てるための心構えとして「一忍可以支百勇 一静可以制百動(一忍を以て百勇を支え、一静を以て百動を制す)」が大切と考えています。この言葉は、江戸幕末の越後長岡藩牧野家の家臣であった河井 継之助の言葉です。「一忍可以支百勇 一静可以制百動」の意味は、「万人の憂いを支えるためには、自らは忍を持ってあたらなければならないし、万人を動かそうとすれば、信念をしっかり持って揺れ動かず、じっと、万人を見守っていなければならない」です。「万人」を「若手医師」に置き換えてもらえれば、私の言いたいことになります。教室を任された者として、Academic Surgeon育成というブレない基軸を示し、「縁の下の力持ち」として、教室員一人一人が進んで自己研鑽を行う高いモチベーションを持てるような環境を整えていきます。消化器外科の仕事を私たちと一緒にやっていこうと思う先生を心からお待ちしております。