診療案内

上部消化管

上部消化管グループの特色

私たち上部消化管グループは主に食道癌・胃癌の外科治療を中心に、その他として、逆流性食道炎、食道アカラシアといった食道良性疾患の外科治療、胃GISTといった粘膜下腫瘍の外科治療を行います。日本内視鏡外科学会・技術認定医が5名常駐しており、ロボット支援下胃切除術の経験も豊富です。さらに、肥満や重症糖尿病に対する減量手術を開始しました。上部消化管グループでは、外科治療以外にESD、EMRなどの内視鏡治療も行っています。私たちは、上部消化管疾患に対し、根治性の高い治療、安全な治療、患者さんの負担の少ない治療を目指して診療を行っています。治療を受けていただいたすべての患者さんが病気を克服し、元気に退院していただけるよう日々研鑽し、全力で診療にあたっております。また、和歌山県では唯一の日本食道学会食道外科専門施設でもあり、安全な食道外科治療を提供しています。

当科における食道癌手術数の変遷

腹臥位胸腔鏡下食道切手術
(原則第1選択)

拡大視効果により
反回神経麻痺の軽減を実現

病院の職員みんなで患者さんを
サポートします

当科における
胃癌手術数・術式の変遷

ロボット支援下胃癌手術の実際

切除可能胃癌に対するダ・ヴィンチ手術システムを用いたロボット支援胃切除術の安全性に関する臨床試験(UMIN:000027969)

ロボット胃癌手術で
膵液漏の減少を目指します

食道癌の治療

食道癌の代表的な治療として、手術、化学放射線治療、内視鏡治療があります。
私たちは日本食道学会が発刊している食道癌治療ガイドライン第4版に沿って治療を行います。私たち上部消化管グループは年間50例以上の食道癌手術を行っています。2009年より、腹臥位での完全鏡視下食道切除術を行ってきました。ここ数年はほぼ100%の患者さんに鏡視下手術を行っています。300例以上の経験より、これまでの開胸手術と比較して術後疼痛が少なく、呼吸機能が保たれ、結果として離床が早いことを証明してきました。今後はロボット支援下での食道切除術を開始する予定にしています。胸腔内の狭いスペースではロボットアームを用いた操作はさらに緻密なリンパ節郭清が可能になると考えています。
以上のように、食道癌手術においても、根治性が高く、低侵襲な治療を提供するよう努力しています。また私たちは、食道表在癌に対する内視鏡切除(ESD)も積極的に導入しており、年間30例に施行しています。食道癌における標準化学療法はシスプラチンと5-FUを組み合わせるレジメンでありますが、私たちはさらに強力かつ副作用の少ないDCS(ドセタキセル、シスプラチン、TS-1)レジメンを臨床試験として行っています。

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胃癌の治療

胃癌の代表的な治療として、手術、化学療法、内視鏡治療があります。私たちは日本胃癌学会が発刊する胃癌治療ガイドライン第5版に沿って治療を行います。私たち上部消化管グループは年間150例以上の胃癌手術を行っています。その90%以上を腹腔鏡手術で行っています。私たちは、これまでの開腹手術と比較して、腹腔鏡手術は低侵襲であり、かつ根治性が損なわれないことを立証してきました。
さらに2017年より、これまでの腹腔鏡手術の欠点を補完する新しい手術としてda Vinci手術システムを用いたロボット支援下胃癌手術を導入しました。高感度3Dモニター、人間の手関節以上に可動するロボット鉗子、また手振れ防止機能など、従来の腹腔鏡手術以上の精度が保たれると考えています。しかし、ロボット手術は新しい手術のため、長期の手術安全性、腫瘍学的安全性が担保されていません。そこで私たちは現在、根治切除可能胃癌に対する腹腔鏡対ロボットの無作為化比較試験を行っています。また私たちは粘膜内癌に対する内視鏡治療(ESD)も積極的に導入しており、年間80例に行っております。
このように早期胃癌・進行胃癌すべてにおいて根治性が損なわれない低侵襲手術を行っています。現在、胃癌の化学療法は従来の抗がん剤のみならず、分子標的治療や免疫チェックポイント阻害剤など、多岐にわたっています。私たちは胃癌の化学療法につきましても、ガイドラインを遵守しながら、臨床試験も考慮し、適切に患者さんに提供しています。

その他の治療

食道良性疾患の手術としまして、逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡下噴門形成術や食道アカラシアに対する腹腔鏡下Hellar-Dor手術、また胃GISTに対する腹腔鏡下手術や腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を積極的に導入しています。今後の予定ですが、肥満者や重症糖尿病患者に対する腹腔鏡下胃スリーブ切除術を開始する予定です。

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